FREE AREA1
コチラは宇宙世紀、1st・z・CCA以降など。
メインはシャア様、セイラさんと友人兼恋人のようなアムロ、シャア様の愛犬が登場してます。
基本はほのぼの、偶に年齢制限有り。温いですが一応忠告。
メインはシャア様、セイラさんと友人兼恋人のようなアムロ、シャア様の愛犬が登場してます。
基本はほのぼの、偶に年齢制限有り。温いですが一応忠告。
「兄さん、お昼は暖めて食べてね。夕食にはアムロも来ることだし少し豪華にしましょう。じゃあ行って来ます」
「ああ、気をつけてな、アルテイシア」
セイラは玄関まで送りに出たシャアに手を振り、にこやかに出勤した。
街の総合病院で内科医として勤務するセイラは、患者にも仲間にも抜群の人気を誇る女医になっていた。
診察は丁寧だが的確で、腕の良さと美貌が相まって老若男女問わず慕われている。
なのに、浮いた噂の一つもないのは、セイラが極度のブラコンだからかもしれない。
多感な時期に立て続けに肉親を失ったセイラとシャアは、互いが互いの拠所だった為にシスコンでブラコンである。
二人とも全く自覚がないが、アムロは傍で見る二人の仲の良さで自然に気が付いた。
(全くこの兄妹は…)
と、内心苦笑していることを、シャアもセイラも知らない。
新しい家は通勤には少々時間がかかるが、子供の頃別れたきりの兄と一緒に暮せるのだから、セイラに否やはない。
しかも兄は記憶を失っている。
父を謀殺され、愛する母と引き裂かれた上に死に目にも会えず、シャアは復讐の為に自分の許を去った。
母が死ななかったら復讐の鬼などにはならなかっただろう。元来シャアは優しいのだから。
母への愛情からシャアはキャスバルとエドワウの名を棄て、破滅への道を自ら進む鬼となった。
父の遺した負の遺産を心ならずも受け継いで、苦しい茨の道を歩いてきた兄。
その兄が、辛かった記憶の一切を失ってセイラの許へと還って来た。
その手助けをしてくれたのは、かつては宿敵としてシャアと討ち合ったアムロである。
宇宙で殺しあった後に救出するなんてことは、運命の皮肉としか言いようが無い。
それでもセイラは嬉しくて、同時に有難かった。
アムロが兄を殺さずに生かして連れ帰ってくれたことが、何よりも嬉しかった。
シャアが昏睡状態で入院していた頃、アムロからの連絡でシャアが生きていることを知らされた。
会って詳細を聞けば涙が止まらず、アムロを困らせた。
『一緒に暮してはどう?』というアムロの提案に、セイラは一も二もなく頷いた。
それからというもの、僅かな時間が許す限り住居を探し、今の家を買い取ったのだ。
シャアが退院するまでにどうにか住まいとしての体裁を整え、セイラが先に引っ越した。
1週間の休暇を使って家中の掃除をし、シャアの部屋を整えて兄の退院を待った。
『明後日、退院の許可が出たよ、セイラさん!』
アムロの嬉しそうな声が携帯電話から零れ、自分同様アムロも嬉しいのだと思うと、自然に涙が溢れてきた。
『うわ、泣かないでよセイラさん!俺、貴女に泣かれるとどうしていいか解らなくなるよ…』
慌てた声が可笑しくて、セイラは笑う。
『普段見慣れないから、でしょう?アムロ』
『え、ち、違うよ!そんなんじゃないって…俺、昔からセイラさんには頭が上がらないじゃないか…だからさ…』
『ふふ、そうだったかしら?でもねアムロ、今は私の方が貴方に頭が上がらなくなりそうよ』
『どうして?』
『だって、貴方は兄さんを生還させてくれたわ…二度と会えないだろうと思っていた兄さんを、私に還してくれた…だから、私は貴方に足を向けて寝られないの』
『それはね…シャアがいなかったら俺が俺じゃなくなるからなんだ。だから当然の事だと思ってる』
『それでも、ありがとう、アムロ』
…そんな遣り取りが思い出される。
シャアが還ってきてから、10日が過ぎた。
始めはぎこちなかったシャアの態度も、今はすっかり落ち着いている。
記憶はなくとも、セイラをたった一人の妹として大事に思っているのが、言葉の端々や眼の色で見て取れた。
昔とは違い、穏やかに凪いだ眼をする兄。
優しい表情のシャアは、微かに覚えている美しかった母に似ている。
アムロに言わせれば、『シャアとセイラさんってそっくり。顔も性格も』 らしいのだが、より母に似ているのは自分ではなく兄だろうと思う。
母のことだけでも思い出して欲しいが、それはシャアを復讐へ駆り立てた原因でもあるので、素直に思い出してとは言えないジレンマがある。
だから記憶のことは流れに任せようと思っていた。
「さて、夕食は何にしようかしら…兄さんの好物とアムロの好物…アムロは何が好きだったかしら」
セイラは一人言ちながら、綺麗な景色の中を街へと車を走らせた。
「…何もすることがない、というのは苦痛を伴うものなのだな…」
同じ頃、傷のある眉間に僅かに皺を寄せながら、シャアも一人言を呟いていた。
入院中もする事といえば読書と散歩。
極秘の入院という事もあって大っぴらに散歩する事は憚られ、行く先はいつも屋上だった。
天気の良い日はそこで読書をしていたが、日差しに弱い事に気付き、専らサングラスをかけて読んでいた。
…相当胡散臭い姿だったろうと、今思い出すと苦笑が浮かぶ。
だがお陰で、ゆっくり本を読むという行為が今のシャアの趣味になっていた。
「…そうか。アムロが来るのだったな、途中で何冊か買って来て貰おう」
シャアは携帯電話でアムロを呼び出すと、未だ寝こけているだろう姿を想像して可笑しくなった。
数度のコールの後に、想像通りのアムロが画面に現れた。
「おはよう、アムロ君。何時まで寝ている?もうとっくに夜は明けたぞ」
『…あ~シャア、か?今何時…』
「7時半過ぎだ。アルテイシアはとっくに病院へ向った」
『まだ7時半だろ…?もうちょっと寝かしてよ、昨夜残業で午前様だったんだ…』
「何時までも寝こけていると、眼が腐るぞアムロ」
『ハロみたいな事言わないでよ…俺、低血圧で朝弱いの。だからゴメン、シャア…』
「今日は家に来るのだろう?アルテイシアが腕を揮ってくれるそうだ」
『え?!セイラさんの手料理?うわ、本当?』
「…ああ、だからさっさと起き」
『もう起きた!ばっちり目が覚めました!』
「………。アムロ、来る前に一つ頼まれてくれないか」
『何?』
「本を何冊か買って来て貰いたい」
『本?いいけど、シャアの読むジャンルって難しそうだな』
「そうでもないさ。…そうだな、昔の古典文学にでもして貰おうか。国はどこでも構わない」
『了解。セイラさんの手料理のお礼だ、お安い御用だよシャア』
「すまん、アムロ」
『いいさ、じゃあ7時頃伺うってセイラさんに伝えて。一度連絡する』
「ああ解った」
通話を切ったシャアは大きな溜息を零す。
アルテイシアとは1年戦争時に一緒に闘ったと聞くが(その相手が自分なのも聞いている)、あの懐きようは何だと思う。
(惚れている、とは少し違うな…まるで犬が飼主に尻尾を振っているような…?)
自分の想像に可笑しくなったシャアは、脳裏に犬の耳の生えたアムロを想像して、誰もいない家で一人笑い転げていた。
「ああ、気をつけてな、アルテイシア」
セイラは玄関まで送りに出たシャアに手を振り、にこやかに出勤した。
街の総合病院で内科医として勤務するセイラは、患者にも仲間にも抜群の人気を誇る女医になっていた。
診察は丁寧だが的確で、腕の良さと美貌が相まって老若男女問わず慕われている。
なのに、浮いた噂の一つもないのは、セイラが極度のブラコンだからかもしれない。
多感な時期に立て続けに肉親を失ったセイラとシャアは、互いが互いの拠所だった為にシスコンでブラコンである。
二人とも全く自覚がないが、アムロは傍で見る二人の仲の良さで自然に気が付いた。
(全くこの兄妹は…)
と、内心苦笑していることを、シャアもセイラも知らない。
新しい家は通勤には少々時間がかかるが、子供の頃別れたきりの兄と一緒に暮せるのだから、セイラに否やはない。
しかも兄は記憶を失っている。
父を謀殺され、愛する母と引き裂かれた上に死に目にも会えず、シャアは復讐の為に自分の許を去った。
母が死ななかったら復讐の鬼などにはならなかっただろう。元来シャアは優しいのだから。
母への愛情からシャアはキャスバルとエドワウの名を棄て、破滅への道を自ら進む鬼となった。
父の遺した負の遺産を心ならずも受け継いで、苦しい茨の道を歩いてきた兄。
その兄が、辛かった記憶の一切を失ってセイラの許へと還って来た。
その手助けをしてくれたのは、かつては宿敵としてシャアと討ち合ったアムロである。
宇宙で殺しあった後に救出するなんてことは、運命の皮肉としか言いようが無い。
それでもセイラは嬉しくて、同時に有難かった。
アムロが兄を殺さずに生かして連れ帰ってくれたことが、何よりも嬉しかった。
シャアが昏睡状態で入院していた頃、アムロからの連絡でシャアが生きていることを知らされた。
会って詳細を聞けば涙が止まらず、アムロを困らせた。
『一緒に暮してはどう?』というアムロの提案に、セイラは一も二もなく頷いた。
それからというもの、僅かな時間が許す限り住居を探し、今の家を買い取ったのだ。
シャアが退院するまでにどうにか住まいとしての体裁を整え、セイラが先に引っ越した。
1週間の休暇を使って家中の掃除をし、シャアの部屋を整えて兄の退院を待った。
『明後日、退院の許可が出たよ、セイラさん!』
アムロの嬉しそうな声が携帯電話から零れ、自分同様アムロも嬉しいのだと思うと、自然に涙が溢れてきた。
『うわ、泣かないでよセイラさん!俺、貴女に泣かれるとどうしていいか解らなくなるよ…』
慌てた声が可笑しくて、セイラは笑う。
『普段見慣れないから、でしょう?アムロ』
『え、ち、違うよ!そんなんじゃないって…俺、昔からセイラさんには頭が上がらないじゃないか…だからさ…』
『ふふ、そうだったかしら?でもねアムロ、今は私の方が貴方に頭が上がらなくなりそうよ』
『どうして?』
『だって、貴方は兄さんを生還させてくれたわ…二度と会えないだろうと思っていた兄さんを、私に還してくれた…だから、私は貴方に足を向けて寝られないの』
『それはね…シャアがいなかったら俺が俺じゃなくなるからなんだ。だから当然の事だと思ってる』
『それでも、ありがとう、アムロ』
…そんな遣り取りが思い出される。
シャアが還ってきてから、10日が過ぎた。
始めはぎこちなかったシャアの態度も、今はすっかり落ち着いている。
記憶はなくとも、セイラをたった一人の妹として大事に思っているのが、言葉の端々や眼の色で見て取れた。
昔とは違い、穏やかに凪いだ眼をする兄。
優しい表情のシャアは、微かに覚えている美しかった母に似ている。
アムロに言わせれば、『シャアとセイラさんってそっくり。顔も性格も』 らしいのだが、より母に似ているのは自分ではなく兄だろうと思う。
母のことだけでも思い出して欲しいが、それはシャアを復讐へ駆り立てた原因でもあるので、素直に思い出してとは言えないジレンマがある。
だから記憶のことは流れに任せようと思っていた。
「さて、夕食は何にしようかしら…兄さんの好物とアムロの好物…アムロは何が好きだったかしら」
セイラは一人言ちながら、綺麗な景色の中を街へと車を走らせた。
「…何もすることがない、というのは苦痛を伴うものなのだな…」
同じ頃、傷のある眉間に僅かに皺を寄せながら、シャアも一人言を呟いていた。
入院中もする事といえば読書と散歩。
極秘の入院という事もあって大っぴらに散歩する事は憚られ、行く先はいつも屋上だった。
天気の良い日はそこで読書をしていたが、日差しに弱い事に気付き、専らサングラスをかけて読んでいた。
…相当胡散臭い姿だったろうと、今思い出すと苦笑が浮かぶ。
だがお陰で、ゆっくり本を読むという行為が今のシャアの趣味になっていた。
「…そうか。アムロが来るのだったな、途中で何冊か買って来て貰おう」
シャアは携帯電話でアムロを呼び出すと、未だ寝こけているだろう姿を想像して可笑しくなった。
数度のコールの後に、想像通りのアムロが画面に現れた。
「おはよう、アムロ君。何時まで寝ている?もうとっくに夜は明けたぞ」
『…あ~シャア、か?今何時…』
「7時半過ぎだ。アルテイシアはとっくに病院へ向った」
『まだ7時半だろ…?もうちょっと寝かしてよ、昨夜残業で午前様だったんだ…』
「何時までも寝こけていると、眼が腐るぞアムロ」
『ハロみたいな事言わないでよ…俺、低血圧で朝弱いの。だからゴメン、シャア…』
「今日は家に来るのだろう?アルテイシアが腕を揮ってくれるそうだ」
『え?!セイラさんの手料理?うわ、本当?』
「…ああ、だからさっさと起き」
『もう起きた!ばっちり目が覚めました!』
「………。アムロ、来る前に一つ頼まれてくれないか」
『何?』
「本を何冊か買って来て貰いたい」
『本?いいけど、シャアの読むジャンルって難しそうだな』
「そうでもないさ。…そうだな、昔の古典文学にでもして貰おうか。国はどこでも構わない」
『了解。セイラさんの手料理のお礼だ、お安い御用だよシャア』
「すまん、アムロ」
『いいさ、じゃあ7時頃伺うってセイラさんに伝えて。一度連絡する』
「ああ解った」
通話を切ったシャアは大きな溜息を零す。
アルテイシアとは1年戦争時に一緒に闘ったと聞くが(その相手が自分なのも聞いている)、あの懐きようは何だと思う。
(惚れている、とは少し違うな…まるで犬が飼主に尻尾を振っているような…?)
自分の想像に可笑しくなったシャアは、脳裏に犬の耳の生えたアムロを想像して、誰もいない家で一人笑い転げていた。
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